正面側 (H4撮影)
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観覧席側 (H4撮影)
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窓が塞がれてしまった (H12.7撮影)
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屋上の貴賓室は撤去された (H12.7撮影)
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券売所だろうか (半分土に埋まっている)
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- 旧 根岸競馬場1等観覧席
竣工 | 昭和5年 |
構造概要 | 鉄筋コンクリート造 |
所在地 | 中区根岸台 |
設計/施工 | J.H.モーガン/大倉土木(現 大成建設) |
横浜の根岸台に広がる楕円状の根岸森林公園は、
慶応元年に創設された日本で最初の競馬場の跡地です。
競馬場といっても当時は社交界の一種の高級クラブのようなものだったようです。
南東側の一角には現在「馬の博物館」(根岸競馬記念公苑)が建てられています。
この1等スタンドは現存する日本最古の競馬施設であり、
大沢工業ビル、
山手聖公会、
関東学院中学校などを設計した
J.H.モーガンの作品でもあります。
最上階の貴賓室は豪華なホテルの一室の様だったそうです。
隣に2等スタンドが建てられていましたが昭和63年に取り壊されてしまいました。
現存する1等スタンドは昭和5年に完成しましたが、昭和17年に海軍に接収され、
高台で海を見渡せる地勢のため、通信施設などに用いられました。
戦後、昭和22年に米軍に接収されましたが、昭和57年にやっと日本に返還され、
横浜市の管理下となりました。
もっとも競馬場の全体が返還されたわけではなく、
1等スタンドの周囲には米軍の施設や居住区が残っています。
競馬場のコースの大部分は根岸森林公園として公開されており、散歩やお花見に最適です。
この1等スタンドは近年補強工事が行われ、周囲の空き地も公園として整備されました。
補強工事と同時期に、窓や扉が素っ気ない板やコンクリートでふさがれてしまい、少々残念です。
また、観覧席屋上の貴賓室などの構造物も撤去されていまいました。
老朽化が激しかったので仕方がなかったのでしょう。
スタンドの建物は、残念ながら内部は公開されていませんが、周辺を散歩することはできます。
小高い丘の上に廃墟のような建物がそびえ立ち、独特の雰囲気をかもし出しています。
建物の正面側は公園になっていますが、観覧席側は米軍の敷地に接していますので、
横からしか眺めることができません。
付近には競馬場時代の構造物が他にも残っているようですが、
民家や米軍の管理地の敷地内となっており判然としません。
米軍と市の共有道路の脇に券売所風の建物が認められますが、
腰の高さくらいまで土に埋まっています。
ただし昔の地図に載っていませんので競馬場とは無関係かもしれません。
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